平成13年 芸予地震で図書館はどうなった?
(以下、「図書館だより」第54号(2001年6月)より記事を転載)

本学図書館は,去る3月24日(土)15時28分に発生の,震度6.7の『平成13年芸予地震』により,大きな被害を被った。平成12年度卒業証書・学位記授与式が実施された日の午後であった。

図書館の建物は,大学の中でも屈指の景観の良い場所にあるため,その特徴を生かすべくガラス窓の多い構造となっているが,そのことが,マイナスとなり,玄関入口の周辺を中心に,柱や壁面に大きな亀裂が入り,1〜3階の大きな窓ガラスにもおびただしい亀裂が入ると共に落下し,大小のガラス片が周囲に飛び散る惨憺たる状態となった。
飛び散ったガラス片(玄関入り口) 割れたガラス窓(2階閲覧室)
飛び散ったガラス片
(玄関入り口)
割れたガラス窓
(2階閲覧室)
それと共に,2〜3階の閲覧室は,上部の棚に置いてあった書籍や雑誌類,閉架書庫内の書籍・雑誌類が大量に落下して足の踏み場もない状態となり,また,3階のビデオ等を設置陳列している上下2段に分かれたスチ−ル戸棚は上段部分がかなりの数ひっくりかえったり,ずれ落ちたりした。
大量落下した書籍(2・3階閲覧室) 亀裂が入った柱(2階閲覧室)
大量落下した書籍
(2・3階閲覧室)
亀裂が入った柱
(2階閲覧室)
壁の破片も散乱 壁の破片も散乱
壁の破片も散乱

建物にはこれだけの被害を被りながら,閉館後で館内は勿論建物の周辺にも人影がなかったため,人身事故が全くなかったことは不幸中の幸いというべきであった。

しかし,土曜日のため図書館は13時で閉館となっていたが,閉館後も卒業生を交えた学生達のグル−プが玄関入口付近に,残っていたので,この学生達がいた時に発生していたらと考えると,本当にぞっとする思いであった。

ともあれ,図書館の建物は,割れたガラスがそのまま窓枠についた状態であり,余震が断続的に発生していたこともあって,取り敢えず立ち入り禁止措置をすると共に,ガラスの落下防止のための緊急措置を行った。

翌々日の4月26日(月)からは,臨時休館とし,図書館員が総出で復旧作業を行ったが,館員に加えて,知能機械工学科中村省三教授のゼミ生や,学内ブックセンタ−(丸善委託経営)の職員の方々が,多い時で10名位ボランティアで復旧作業を手伝って下さり思い他早く館内の書籍等の整理を済ますことができた。

同時に,亀裂の入った壁面や柱,窓ガラスを元の状態に復旧させるため依頼した業者の方々により精力的に修復作業が行われたが,しかし現状回復には相当の期間を必要とし,結局3月26日(月)〜4月7日(土)まで閉館することとなった。

この間,学生の皆さんや教職員の方々に不便を強いることとなり,随分ご迷惑をおかけしたことをお詫びすると共に,ご協力を頂いたことに深く感謝する次第です。

なお,近隣の大学では,広大図書館(東広島市)で7万冊余の書籍類が落下したとのことであったが,それ以外の大学は取り立てての被害の様子を聞いていない。

(広島工業大学附属図書館 事務長 西郷 知夫)

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