OBだより (第37回) 2003.01.24

(といさき・かずや)
樋崎 和也 さん

窪田建築アトリエ 勤務
(平成9年(1997年)環境デザイン学科 卒業)

「建築のむこうに見えてくるもの」
 早いもので、僕が窪田建築アトリエで働き始めて、今年で6年目になりますが、毎日が新しい発見や驚きの連続で、あっという間に時間が過ぎたように感じます。

 現在は、所長とスタッフ2人で仕事をしていますが、建築の設計の他に、雑誌への作品発表や展覧会、コンテストヘの応募の際の、レイアウトパネルや図面、CG、模型等を僕ともう一人のスタッフで作っています。

 今年の春、東京のGA galleryという場所で行われた世界の建築家の作品展に出展した時には、展示用の模型やCGパースなどを任されて作ることができ、とてもよい経験になりました。

 これまで設計に関わってきて完成した住宅等の作品は、ほとんどが建築の専門誌に掲載されたり、多くのコンテストで賞を頂いています。最近では、実際に行かれた方も多いと思いますが、昨年山口県で開催された「山口きらら博」のパビリオン設計プロポーザルコンペで1等に選ばれ、メインホストパビリオンである山口県館の設計をしました。

 また今年になって、その山口県館が海外のコンテストで東アジアの代表として最終選考にノミネートされたり、イタリアの有名な建築専門誌の表紙を飾ることができたりと、海外でも高い評価を受けています。

 設計の仕事は、長い時間を掛けて地道にコツコツと積み上げなければなりませんし、住宅1軒の設計に何年も掛かることがあります。毎日夜中の2時や3時になることも多くあり、完成するまでには苦しいこともたくさんありますが、とてもやりがいのある仕事です。また積み重ねた普段の努力の結果がこうして世界に認められて行くことはこの上なく嬉しいことですし、もっと頑張ろうという刺激になります。

 事務所内では建築についてだけではなく、よく皆で色々な話をしています。映画や車、プロレス等々、色々な話題で盛り上がったりするのですが、所長が色々な事にとても詳しいことにいつも驚かされます。

 一見、建築とは全く関係ないようなことでも、奥の深いところでは似たような部分があったり、参考になることが多くあります。専門である建築について、より深く勉強するのはもちろんのことですが、他の色々な事に興味を持つことはとても大切で、それは結果として自分自身の幅を広げるし、人生を豊かにしていくことに繋がるのだということを所長にもよく言われます。

 環境デザイン学科で、建築に限らず自然や環境等について幅広く学べたことは、自分自身の視野を広げていく上で大きく役立ったと思います。ただ、今になって考えてみると、学生の頃はいくらでも好きな事に時間を掛けることが出来たにも関わらず、何かに興味を持って夢中になるということが足りなかったように思います。

 どんなことでも、本当の面白さを知るには時間が掛かります。それが今は、少し分かってきた気がしています。進めば進む程、乗り趣えなければならない壁もたくさんありますが、その先にはまた別の新しい世界が見えてくるはずです。

 これからも色々なことへの興味と探求心を持って一歩一歩前進して行きたいと思っています。


※広報誌「広島工大」183号より転載


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