OBだより (第42回) 2003.10.04

(しんぽ・えいいち)
新保 栄一 さん


(昭和45年(1970年)経営工学科 卒業)


昭和45年経営工学科卒業の新保と申します。30年余り付き合っているカメラ、フィルムについて少し書いてみようと思います。但しちゃんとした専門教育を受けたわけではありませんので、あくまでも私が長年経験してみての感想ということになります。学生時代はカメラも相当高価なものだったため、カメラを買って趣味で写真をという経済的余裕はありませんでした。大学を卒業し就職をして多少生活に余裕が出来てやっとカメラを買うことが出来たのです。

最初に買うカメラは何にしようかといろいろと悩みましたが、写真を習った先生や先輩方の勧めでニコンが良いと言われ、そうすることにしました。最初に買ったのがニコマートというカメラです。TTL(スルーザレンズ)開放測光という当時としては非常に優れた測光方式のカメラでした。それからいろいろカメラを買い換えたり買い足したりしてきましたが、最初に買ったニコンから離れることが出来ず、以来ニコンF、F2、FA、FM2、F5、FlOOとずっとニコンです。いろいろ買ったものだと自分ながら呆れています。

ライバルのC社は途中何度かレンズマウントを変更し新しいカメラには以前のレンズは使用できないといった状態がおきました。幸いにニコンだけはずっとFマウントを貫いてくれました。勿論オートフォーカスカメラを出すときも変更しませんでした。おかげで昔からのレンズがそのまま現在でも使用できるのです。但し新しいカメラに古いレンズをつけると撮影は出来ますが、新しいカメラの性能をフルに発揮する事は出来ません。でもこれは仕方のないことだと思います。

時代が進むにつれカメラも露出計内蔵だけでなく、絞り優先、シャッター速度優先、プログラム(完全なカメラ任せ)といったオート機能がつくようになりましたが、なんとなくオートと言うのに抵抗があり露出は自分の勘で決めることにこだわっていました。しかしだんだんとカメラのそういった機能も進化してくると、いつの間にかそれに頼るというか、信頼するようになっていました。しかしいくら進化しても100%任せきりにすることは出来ません。やはり最後は自分の勘を働かせる必要があります。でもその割合がだんだんと少なくなってきたことは確かです。

さて今ではコンパクトカメラ、一眼レフカメラともオートフォーカスが当たり前になっています。ただ一眼レフカメラはファインダー内で、どこにピントが合っているのか確認できるので安心ですが、コンパクトカメラはピントの確認が出来ないので、取説をよく読んで測距方式(パッシブ、アクティブの2通りあります)の違いなど特徴を理解しておかないと、撮ってはみたが肝心なところがピンボケだったということになります。

それからコンポクトカメラ(一部一眼レフカメラにも)にはストロボ(本来この言葉は商品名なのですが解りやすいのでこう呼ばせていただきます)内蔵が当たり前になっています。しかも暗くなると自動的に発光すると言う一見結構な機能に思えますが、これが曲者なのです。例えばまだ皆さんの記憶に新しい事と思いますが、去年行なわれたサッカーのワールドカップでの事、試合開始と同時に客席から一斉に光ったストロボ、あれはまったく意味がありません。カメラについているストロボは当然光量が小さいので、使用フィルムにもよりますがせいぜい3mからよくて6mまで届けばよいほうなのです。ですからあんな遠くのスタンドからいくらストロボを光らせても選手まで光が届くわけが無いのです。かえって選手のプレイの邪魔になっているだけです。

フィルムは私が写真(記念写真ではなく作品作りの為の写真)を始めた頃には当然カラーもありましたが、まだまだ白黒フィルムがメインでした。私の周りもほとんど白黒だったように記憶しています。それでも割と高価だったので長尺フィルム(100フィート缶)を買って自分でパトローネに巻いて撮影していました。一缶で約18本取れ、値段的にも約半額以下で済んだと記憶しています。勿論現像、プリントも自分で行なっていました。使用フィルムは日本にも、フジ、コニカとありますが、やはりコダックのTRY−Xが主流でした。ASA(現在はISO)400でフィルムベースが薄く現像してもカールしなかったのです。それに比べ日本製はベースが厚くカールがひどかったためベタ(密着焼き)にするときに大変苦労をしました。今ではフジからネオパン400プレストという非常に優れた白黒フィルムが出ています。でも残念ながら現在は主にリバーサルフィルムで撮影をしておりほとんど白黒フィルムを使っていません。

そしてフィルムもデジタルにとって替わられつつあるようです。確かにフィルム、現像代はいらないし撮影してすぐ画像が確認できるしと、いい事ずくめのようですが、マイナス面もあります。それはコンパクトデジカメでは後部にある液晶画面を見て撮影をする人がほとんど思われますが、この手を伸ばして撮影と言うことは両手でカメラを持っているだけなので、カメラが非常に不安定になりカメラブレを起こしやすいのです。反対にファインダーを覗くと言うことは肘が曲がるのでこの時脇をしめ、カメラを額にくっつけておけばしっかり保持されるからカメラブレを起こしにくいのです。ですからデジカメで撮影をする時には、カメラブレにより気をつけなければならないということになります。

 これからも写真とはボツボツと長く付き合いをして行こうと思っております。

 最後に広島工業大学及び同窓会の益々の発展を心よりお祈りいたしております。

※「広島工業大学同窓会誌」第37号(2003年)より転載


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