Campus Guide 2020
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 20世紀の工学の進歩は、人々の生活を一変させ、生活の質を劇的に向上させました。この生活の質の向上に伴い、世界の人口は、国際連合「世界人口予測・2017年改訂版」によると2015年で73億人を突破し、2030年までに86億人、2050年に98億人と予測しています。さらに、世界人口の増加に伴い60歳以上の高齢者は、現在の9億人から2050年には24億人となり、医療や介護において全世界的な問題が発生すると思われます。この問題に対し、世界自然保護基金(WWF)は、自然資源の消費に伴う地球環境への影響を考えると、地球上の適正人口は約50億人であることを報告しています。 また、食の面から考えると、現在の地球上で供給されている食料資源では、全世界が日本並みの食生活をすると適正人口は63億人となることが報告されています。我々は、現代社会の豊かな生活の反面、医療や食に対する地球規模の課題を背負った生命科学の時代“21世紀”を迎えているといっても過言ではありません。 生命学部は、このような地球規模の課題解決を目指し、2012年に新設されました。本学部は、工学的な立場で人の生命に密着する生体医工学分野と、生命及び食品を捉える食品生命科学分野を対象に、幅広く、かつ多角的な専門分野から教育を行うとともに、健康な社会形成に貢献できる高い人間力を有する人材養成を行い、生命関連技術の中核を担う実践的な専門的職業人を育成します。(1)生体医工学科 生体医工学科は、現在の高・多機能医療機器や医療情報システムが、高度医療を可能にしていることから、高度医療のコメディカルスタッフとして、臨床現場で医療機器の操作や維持管理を行い、医師と共にチーム医療を実践できる臨床工学技士を養成します。 教育の内容は、工学・医学の専門知識・技術をベースに、臨床現場における問題解決能力を兼ね備えた臨床工学技士として、また先端的な医療機器開発に携わる技術者として幅広い分野で活躍できるスキルが修得できるよう構成されています。①工学・医学に関する専門知識の修得 講義内容に対応した実習と並行して臨床現場や研究開発現場で直面する多くの問題を実践的に体験学習することで確実な専門知識の修得と問題解決能力を持った人材を養成します。②高い就業力を有す人材の養成 社会実践科目や多くの実習を通して、実習計画の立案、実習の分担と責任、実習内容の問題提起、実習報告とプレゼンテーション等を学ぶことで、実践力、問題解決能力、コミュニケーション力及び協調性等の高い就業力を持った人材を養成します。③人間性と高潔な倫理観を持つ人材の養成 生命の本質を科学的に正しく理解し、専門知識や技術と共に豊かな人間性と高潔な倫理観を身につけることにより、人類の健康に貢献する人材を養成します。(2)食品生命科学科 食品生命科学科は、生命科学の基本的な原理に基づく微生物、植物に関する最新のバイオテクノロジーと食品製造技術に精通した幅広い知識を有するとともに、少子高齢化や食に関わる21世紀の諸課題を科学的に認識し、他者と協調しつつ、豊かな教養と高い倫理観をもって、自律的、創造的に解決することのできる人材を養成します。 教育内容は、生命科学の基礎並びに微生物、植物に関するバイオテクノロジーの知識、さらには食品技術者として高い実践力が習得できるよう構成されています。①生命科学を基盤としたバイオテクノロジー及び食 品製造に関する専門知識の修得 生命科学を基盤として、微生物、植物バイオテクノロジーに加え、食品の製造・管理、醸造技術、機能性食品の開発、流通過程での衛生管理にも精通した幅広い知識を有する人材を養成します。②実践的な課題解決能力を有する人材養成 科学分野全般の基礎的知識を修得した後、バイオテクノロジー系、食品系の専門知識を修得することで、これらの知識を有機的に融合させ、直面した新たな課題に対して柔軟に対応できる実践的な課題解決能力を有する人材を養成します。③高等学校の理科教員養成 自然科学現象に関する洞察力、探求心を持ち、複雑な自然科学現象を説明することのできる能力と教育者としてより高い倫理観を備えた高等学校理科教員を養成します。生命学部紹介130大学院課外教育活動学生生活修学HIT.E▼2024窓口・各種手続後期生命学部環境学部情報学部工学部前期

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